きっかけ
コロナが流行する前のある日。僕の教室に「教室運営の相談をしたい」という電話が入りました。かれこれ20年、教室を運営するなかで初めてのケースでしたしレッスンでもないのだからお断りしようと思ったのですが、その日はちょうど僕も時間があったので教室でお話しましょうということになりました。この時は僕の経験がこんな形で役に立つんだ?とすこし意外に感じたのを覚えています。そんな出来事を頭の片隅に置いたまま月日は流れ、僕は10の位がひとつ上がり大きな節目の歳に。そんなことも契機となり新しい試みとしてfopkaの立ち上げに至りました。
コンサルトなんて考えたこともありませんでしたが、気が付けば僕もそんな歳になったのかもしれません。独立してから月におよそ100レッスンを20年と考えたら、それこそさぞ立派な先生であるべきですが、今の自分を思うと正直まだまだだ至らないと感じます。何年やってんだよ馬鹿なんじゃないの?と今だに自分が情けなくなるような失敗もありますが、ピアノ教室はそれくらい奥の深い仕事なんだと自分に言い聞かせてしょっちゅうリスタート。常に新しいことに触れ変化に富んだ仕事ですから、その変化をなるべく自然体で楽しめることが大切だと感じます。
純粋にピアノのレッスンだけに専念できればよいのですが、個人のピアノ教室では経理や企画など一般的な会社にある全ての部署を一人で受け持つことになります。こんなことを書くとネガティブにとられてしまいますが、ピアノ教室は数ある業種の中でも大変な仕事の部類に入るのではないかと20年経ったいま改めて実感しています。目を光らせてくれる上司や仕事を任せられる部下はいませんので自分の行動がすべての結果に直結しますが、そのダイレクトな反応はやりがいの大きさとも言えますし、そこから得る喜びは労を超える価値のあるものと言えるでしょう。
僕の経験が万人に対して特効薬のように効くとは思いません。人も違えば開業する時期も地域もそれぞれですので僕の経験を活かしつつ押し付けにならないよう、それが思い込みや時代遅れや視野の狭いアドバイスにならないように気を付けたいと思います。このサイトを作りながら、僕が独立する前に講師を勤めたミュージックスクールで初めて生徒さんに接した日のことや独立した90年代当時のことを思い出しました。今思えばよくあんな未熟者が始められたものだと恥ずかしいばかりですが、遠回りしながら見てきた景色が多角的なアドバイスに繋がればと思います。
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